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本の特送便 梅書房 > ニュルンベルク裁判
978-4-00-061036-0 ニュルンベルク裁判
ニュルンベルク裁判
¥3,520   在庫有り
芝健介/著

岩波書店

2015年3月

人文/世界史/世界現代史


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【内容】

「勝者の裁き」「ナチスの犯罪を暴いた画期的裁判」――毀誉褒貶相半ばし,いまだ評価の定まらないニュルンベルク裁判.あまり知られていない「継続裁判」をあわせた実態を描き出すとともに,先行する第一次大戦後のライプツィヒ戦犯裁判から戦後ドイツにおける受容のあり方までを辿り,未曾有の戦犯裁判の全体像に迫る.


【目次】

はじめに

第一章 忘れられた戦犯裁判
 一 第一次世界大戦とヴェルサイユ条約
 二 ライプツィヒ法廷とドイツ軍の戦犯をめぐる攻防
 三 ライプツィヒ裁判の世界史的意義とその後の戦犯裁判に対する影響をめぐって

第二章 ニュルンベルク国際軍事裁判への道
 一 戦間期国際社会と戦争法
 二 「平和に対する罪」の成立および「人道に対する罪」の誕生

第三章 裁かれた戦争犯罪――ニュルンベルク国際軍事裁判の展開
 一 起訴状準備と検察官・裁判官の選任,被告人の選定
 二 審理と判決

第四章 もう一つのニュルンベルク裁判――ニュルンベルク継続裁判
 一 医師裁判と法律家裁判
 二 親衛隊(SS)と警察
 三 企業家・銀行家裁判
 四 元帥たちと将軍たち
 五 大臣・政府高官たち

第五章 IMTと継続裁判の法理問題をめぐる追加考察と両裁判の比較

第六章 ニュルンベルク裁判以後のナチ犯罪裁判
 一 その後の戦犯裁判の行方
 二 ドイツ人自身による裁判

第七章 西ドイツにおけるニュルンベルク判決の受容
 一 判決への反発と忘却
 二 アイヒマン裁判とアウシュヴィッツ裁判
 三 ニュルンベルク裁判の評価の転換

おわりに

注/あとがき/参考文献・人名索引


■著者からのメッセージ
 「国際法の時代」といわれるようになってから久しいが,その一方で,国際法は二〇世紀の戦争とそこにおける剥き出しの暴力を阻止することも圧服することもできない無力な存在にすぎなかったのでは,という懐疑の念や冷笑の声が現在までなかったわけではない.「はじめに」で述べたように,戦争犯罪裁判についても,どれだけ犠牲者の無念や遺族の悲嘆に応ええたのか,そうした惨禍を繰り返さぬためにどれだけの効果を実際あげえたのかという痛切な問いが現在まで投げかけられ続けている.
 しかし,戦犯裁判の遺産の継承にかかわるこうした人間的社会的問いかけ――それは,歴史学をはじめとする人文科学・社会科学のあり方にもかかわっている――に対しては,肯定的に答えられない状況が,世界,わけても日本に散見されるといわざるを得ない.極論すれば,それは,今後の戦争犯罪裁判に対する人びとのかかわりかた,関心にも影を落としかねない問題を多く含んでいるように思われる.逆にいえば,戦争犯罪の防止・追及を生産的・効果的に進めていくためには,過去の戦争,戦争犯罪,戦争犯罪追及裁判を総合的全体的にできるかぎり正確に把握することが,益々切実で重要な課題になってきているということでもある.……
 本書では,犠牲者・被害者の復権,再発見への眼差しをなおざりにせず,「はじめに」で提起した,いささかなりとも新しい視角とアプローチを全編に貫きながらニュルンベルク裁判像の再構成を試みた.
 こうした戦犯裁判史を提示することは,日本の,特に若い世代の人びとの「過去の克服」への真剣な関心とも切り結ぶような,世代間の接点形成に対して,ささやかではあるが寄与しうるのではないかと信じている.
――「おわりに」より