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本の特送便 梅書房 > 日本にレイシズムがあることを知っていますか? 人種・民族・出自差別をなくすために私たちができること
978-4-7726-1498-6 日本にレイシズムがあることを知っていますか? 人種・民族・出自差別をなくすために私たちができること 新製品
日本にレイシズムがあることを知っていますか? 人種・民族・出自差別をなくすために私たちができること
¥1,760   在庫有り
原由利子/著

合同出版

2022年8月

社会/社会問題/人権問題


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【内容】

レイシズムが跋扈(ばっこ)する社会では、人びとは自由に〈空気〉が吸えない。

いまレイシズムをなくすカギは、一人ひとりが気づき、批判の声をあげること!


【目次】

はじめに 2

第1章 レイシズムってなに?

 Black Lives Matter が問いかけていること 10

 レイシズムは、なぜつくられたのか 13

 神話であり差別であり政治的・社会的システムであるレイシズム 18

 ドイツのナチス政権によるユダヤ人などのジェノサイド 19

 アメリカでの奴隷制度と南部の人種隔離政策 22

 南アフリカでのアパルトヘイト 24

 つくられた「人種」、利用され拡大していく「人種」 25

 当事者による権利獲得の闘いとレイシャルハラスメント 28

 差別や暴力を扇動するヘイトスピーチ・ヘイトクライム 29

 非対称的な力関係にあるマイノリティとマジョリティ 30

 現代的レイシズムの信念 32

 人種差別ってなに? 33

 多くの人が見ているもの、見えていないもの 35



第2章 被差別部落の人びとへのレイシズムの歴史と現状

 身分制度と移り変わりゆく境界 40

 水平社宣言から差別撤廃への100年の運動 43

 深刻な結婚差別と身元調査 46

 インターネットで再生産される部落差別 47

 犯人視・冤罪との闘い 再審が必要な狭山事件 49



第3章 アイヌ民族へのレイシズムの歴史と現状

 日本の歴史と並列する隣人の歴史 52

 植民地化されたアイヌモシリ 53

 差別的な旧土人保護法からアイヌ文化振興法へ 56

 先住民族としての公的認知 57

 アイヌ民族に対する存在否定と攻撃 59



第4章 琉球・沖縄の人びとへのレイシズムの歴史と現状

 琉球併合された琉球王国の人びと 64

 「国内植民地」と呼ばれ「リキジン」と差別された時代 65

 犠牲を強いられつづけた歴史 67

 琉球・沖縄の人びとの自己決定権と沖縄ヘイト 70



第5章 在日コリアンへのレイシズムの歴史と現状

 中国や朝鮮半島から学び、交流してきた日本の歴史 76

 朝鮮や台湾などを植民地にした近代 77

 「日本臣民」から「外国人」となった在日コリアンの戦後 82

 在日コリアンへの制度的差別と社会的差別 86

 歴史認識と近隣諸国との関係とヘイトスピーチ 88

 政治空間に広がるレイシズム 96



第6章 在日外国人へのレイシズムの歴史と現状

 40年以上にわたる移住労働者の受け入れ 98

 外国人技能実習制度の拡充と新たな外国人受け入れ政策 102

 外国人住民への人種・民族・出自差別 106

 イスラム教徒(ムスリム)への偏見と誤解 108

 認識されていないレイシャルハラスメント 110

 1%未満の難民認定率とウクライナ(避)難民の受け入れ 110

 外国人の非人道的長期収容問題 112



第7章 日本のレイシズム・人種差別の課題

 レイシズム・人種差別の近代史から見えてくること 116

 レイシズム・人種差別の現代史から見えてくること 118

 レイシズム・人種差別の近現代史から見えてくること 120

 マイノリティの文化の尊重と積極的差別是正 124

 人種差別をなくす人権基本インフラの欠如 125

 政治決定・法制度の中の差別を見抜く力 127

 なぜ白人至上主義者・レイシスト、極右政治家が日本にあこがれるのか 128

 日本版「多くの人が見ているもの、見えていないもの」 131



第8章 国際基準に照らし示される「人種・民族・出自差別をなくす処方箋」

 歴史の教訓から生まれた国連と人種差別撤廃への取り組み 134

 人種差別撤廃条約に照らして求められる日本の行動 135

 国連のディエン特別報告者の訪日調査が問いかけていること 139

 レイシズムに向き合い議論した国際社会 141

 人種差別と女性差別の交差・複合 女性差別撤廃委員会日本審査 143



第9章 世界各国の取り組みにつづこう

 各国の人種差別禁止法、ヘイトスピーチ規制 150

 日本で「Japanese Only」が違法な場所 155

 真のダイバーシティと多文化共生への鍵、インクルージョンとエクイティ 157

 切磋琢磨する各国の国内人権機関 160

 負の歴史との向き合い方と歴史教育 161

 忘れない意思を形で示す記憶の文化 164

 先住民族への謝罪 166



第10章 私たちにできること

 知る、気づく、そして行動へ 170

 アンチレイシストベビーとして育つ 171

 マイノリティ当事者の声や人生にふれる 172

 「個人がメディア」の時代にできること 173

 ヘイト・差別サイト・動画・投稿の通報 174

 学校でできること 175

 あらゆる団体・職場・企業でできること 176

 レイシャルハラスメントEラーニング研修・無意識バイアス研修 178

 私から私たちの取り組みへ 179

 公正な社会に向けて政治に参加する 181

 生き方のOSをバージョンアップする 184

 「#レイシズムなくす」 友の足音を聞きながら 186



あとがきにかえて 188

 レイシズムをなくすためのおすすめ情報 192

 おすすめの教材 194

 おもな参考文献/もっと知りたい人へおすすめの本 195


【おすすめ】

「そもそも人類は一つの種で、人種は存在しないって知ってた?」

「なのになんで人種差別がつくられたと思う?レイシズムって聞いたことある?」

「海外の人種差別主義者や団体は、日本を理想の国と賞賛しているって知ってた?」

大学生になった姪っ子に質問すると、「まじ?なにそれ?聞いたことないし」という反応でした。

関心の有無にかかわらず、レイシズムは近代から現代の世界をゆるがす重大事です。

レイシズム(Racism)とは、一言でいえば、人間にはRace(人種の他、民族・出自など)によって優劣があり、その優劣は肌の色のように運命的で不変という神話です。近代に、帝国とよばれた欧米列強は、他の人種・民族や国を植民地支配し搾取しましたが、その行為を正当化させたのがレイシズムでした。「文明をもつ優秀な人種・民族が、野蛮で未開な人種・民族を支配し、指導するのは当然で自分たちの使命」としたのです。劣等集団に交わると劣化するとして分離され、国民がレイシズムを支持すれば、劣等集団に差別的な法制度がつくられ、行きつく先は劣等とみなした集団の虐殺であり戦争でした。

「野蛮」とみなされた日本は、植民地支配されないよう生き残りをかけて明治維新をおこない、身分制度を廃止し、近隣の先住民族を同化し、台湾・朝鮮などを植民地支配し、帝国の仲間入りをしました。日本が列強の後を追い国家を拡張発展させていった歴史は、日本のレイシズムの歴史でもあったのです。

歴史の負の側面がまるで「なかったこと」のように見過ごされていることで、差別は継続し、法制度の中に温存し、差別をうけてきたマイノリティへのレイシズムはエスカレートし、ヘイトスピーチ(差別扇動)も激しさをまして深刻な状況になっています。

日本の人種・民族・出自差別をなくすために、まず私たちにできることは、日本のレイシズムの歴史をひもとき、私たちの社会がなにをしてきたのか、差別を受けてきた人びとがどう声をあげ、行動してきたかを知ることです。歴史をひもとけば、気づかずに人の足を踏んだままになっている、私たち全員につながる課題であることに気がつくでしょう。

本書では、日本の人種・民族・出自差別をなくすための具体的な処方箋、他国の実践例、私たちにできることを具体的に示し、気づいた勢いで自分にできることをやってみることを勧めています。

日本が外国人の受け入れを拡大している今こそ、私たち一人ひとりが、この古くて新しい課題に目をむけ、これからどんな社会をつくっていくか、自分たちの課題として取り組むチャンスです。

 日本社会がこれまで直視してこなかったレイシズムを克服し、人種・民族・出自差別をなくしていけるかどうかは私たち次第です。今できることはなにか、共に考え、行動していきましょう。

                                                      「はじめに」より   原 由利子