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978-4-7807-1970-3 国連子ども権利条約と日本の子ども期 | ||
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【内容】 本書は、2019年3月に国連子どもの権利委員会によって公表された「日本政府第4・5回統合報告審査に関する最終所見」(Concluding observations on the combined fourth and fifth periodic reports of Japan (CRC/C/JPN/CO/4-5))の意義とそれを実現するにあたっての課題を明らかにすることを目的としている。 本書が分析の対象とする2019年3月に公表されたCRCによる最終所見は、同年1月に行われた日本政府第4・5回統合報告審査をもとにまとめられたものなのである。 第4・5回最終所見に示された共鳴と緊張 今回の政府報告審査の対象となった時期は2010年以降から2017年までであった。この時期には、2011年3月11日に東日本大震災と福島原発事故が起こっている。また、2012年12月に安倍第2次内閣が成立し、その後、構造改革が再始動している。3・11と再始動した構造改革、ないしは、新自由主義という政治原理に基づく子ども法制改革を本条約に基づいてどのように評価すべきなのかということが最も基底的な問題として問われることになった。 |
【目次】 はしがき 第1章 子どもの発達と子ども期の回復のために 第2章 第4・5回最終所見に込められたメッセージ 第3章 子どもの権利条約の広報の意義とあり方 第4章 競争社会のもとでの子どものからだとこころをめぐる課題 第5章 あまりに競争的な日本の学校教育 ─国連子どもの権利委員会「第4・5回最終所見」をどう受けとめるか 第6章 「子ども期」の保障と31条 ─子どもの遊びと自由な時間の意義を考え直す 第7章 民族的少数者差別を克服するために求められているもの 第8章 あらゆる暴力からの保護とリハビリ 第9章 いじめ防止法の到達点と課題 ─いじめ重大事態の第三者委員会を中心に 第10章 自殺と不慮の事故から何を学ぶのか ─心の安心、命の安全を 第11章 国内行動計画の何が問題か 第12章 子どもに接して子どものために働く大人の数と質の向上に最終所見を活かす ─学校教職員の定数問題を中心に 第13章 「家庭を強化する」ために求められるもの ─子どもの貧困に抗して、労働の民主的規制と所得の再分配を 第14章 家庭環境を奪われた子どもの権利保障 第15章 児童虐待に関わる勧告をどう実現するのか 第16章 体罰はなぜだめなのか。どうすればなくせるのか。 第17章 保育の市場化・民営化、規制緩和は子どもの権利に反する 第18章 障害のある子どもの学校教育と放課後保障 第19章 日本の子どもたちに、権利として包括的性教育の学びを! 第20章 ジェンダー領域の大きな前進 子どものセクシュアリティ形成を保障する社会へ 第21章 被曝回避を子どもの権利として確立するための第一歩 ─パラグラフ36を活用するための今後の課題 第22章 発達障害・子どもへの薬物使用に関する勧告の持つ重要な意味 第23章 「司法福祉」をどうバージョン・アップするのか 【資料】 1 日本政府第4・5回統合報告に関する最終所見 2 「はじめに」統一報告書『日本における子ども期の貧困化』より抜粋 3 「第1章 新自由主義と新国家主義のもとでの「子ども期の貧困化」」 統一報告書より抜粋 4 統一報告書『日本における子ども期の貧困化』目次 |
【おすすめ】 本書は、最終所見の内容の迅速な普及のために2019年3月に緊急に公刊された市民・NGOの会編『国連子どもの権利委員会 日本政府第4・5回統合報告審査 最終所見 翻訳と解説』(2019年3月)(以下、『翻訳と解説』)をベースにしながら編まれている。『翻訳と解説』との最も大きな違いは、解説の量と質ということになる。最終所見がカバーしている数多くの領域についての解説をできるだけ漏れなく掲載したいということから、総論を含めて全部で23章から本書は構成されることになった。また、『翻訳と解説』に掲載した解説は組織的な検討を経ていなかったのだが、本書においては原則として組織的な検討を終えたものが掲載されており、質も格段に向上している。 |