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本の特送便 梅書房 > さよなら!一強政治 徹底ルポ 小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー
978-4-8451-1648-5 さよなら!一強政治 徹底ルポ 小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー 新製品
さよなら!一強政治 徹底ルポ 小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー
¥1,870   在庫有り
三井マリ子/著

旬報社

2020年8月

社会/政治/海外社会事情


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【内容】

いまの政治は正当な民意なのだろうか? 民主主義を壊す小選挙区制に迫る。


マイノリティや女性の声の反映する民主主義社会を築きたいのであれば、比例代表制が好ましいのは議論の余地がない。

しかし、小選挙区制から大きな恩恵を受けている政党からすれば、

それに代わる比例代表制の話にはおいそれと乗らないだろう。

でも、私は変えたい。変えなくてはいけないと思う。


【目次】

第I部 小選挙区制の日本

 第1章 喜劇のような悲劇
 第2章 ほとぼり冷めたら再登場
 第3章 政党消えても政党交付金は消えず


第Ⅱ部 比例代表制のノルウェー
 
 第1章 ノルウェーの若者はこうして鍛えられる
 第2章 「首相の決闘」をTV観戦
 第3章 女性が最も住みやすい町
 第4章 むかし魔女 いま市長
 第5章 100年前から比例代表選挙


「はじめに」より

日本の政治は、腐臭ただよう泥沼にはまっている、と私は思っている。

例えば森友学園事件。安倍政権は、学校法人「森友学園」のために、大阪府豊中市にある国有地を8億円も値引きしてこっそり売却しようとした。

なんでこんなえこひいきを企んだのだろう。理由は想像できる。

「森友学園」を建てようとしていた塚本幼稚園は、「日本民族のための日本民族の憲法の創出」を掲げて、子どもたちに戦前の教育勅語を暗唱させていた。安倍晋三・昭恵夫妻は、その教育方針にいたく感銘を受けたのだろう。「内閣総理大臣夫人」昭恵は、ある時は園児たちが唱和する姿を見て感涙にむせび、ある時は園の保護者たちに講演をし、あげくは森友学園の名誉校長まで引き受けた。

しかし8億円の値引き闇取引は、木村真豊中市議の執念の発掘作業で明るみに出た。安倍首相は、2017年2月の国会で野党から厳しい追及を受けると、「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」と答弁した。

ここから、官僚たちの忖度改ざん作業が始まった。

財務省は売却にかかわる14件の決裁文書から、安倍首相や妻・昭恵の“におい”を削除した。改ざんを命じたのは、佐川宣寿財務省理財局長(当時)だとみられたが、2018年6月に出た財務省の調査報告書は、佐川局長は「改ざんの方向性」を決定づけたなどと、あいまいな表現でお茶をにごした。

ところが今年になって、改ざんを命じられて苦悩の末に自殺した財務省近畿財務局職員の妻が、夫の遺書ともいえる手記を公表した。手記には、公文書改ざんは「すべて、佐川局長の指示です」と書かれていた。

手記公表後の世論調査は、森友学園を巡る公文書改ざんについて「再調査する必要がある」は73.4%、「必要はない」は19.6%(共同通信2020/3/28)。再調査を要求していた野党に加えて、この圧倒的国民の声。ところが安倍首相も麻生太郎財務大臣も、「再調査の必要はない」と突っぱねた。

なぜこんな、やりたい放題が通用するのか。それは、自民党が圧倒的な数の議席を保持しているからである。

だけど、この一党独裁が正当な民意なのかは極めて疑わしい。

2017年の衆院選を見てほしい。第一党の自民党は、小選挙区での得票率が5割に満たなかったのに、289選挙区の218選挙区で当選者を出すことができた。これは7割以上にあたる。「小選挙区制選挙」という現在の制度のもとでは、5割以下の支持で7割、8割の当選者を出せる。つまり小選挙区制選挙によって生まれた国会の多数派は、「虚構の多数派」といえるのではないか。

虚構の多数派を生み出す選挙制度が続く限り、森友事件も、いや、桜を見る会事件も、加計学園事件も、小渕事件も、甘利事件も、カジノ汚職事件も、河井夫妻の公職選挙法違反事件も、黒川検事長の定年延長事件も……なくならないだろうと私は思っている。

ではどうしたらいいのか。

選挙制度を、民意がほぼ正確に反映する比例代表制中心に変える以外にない、と私は心から確信するようになった。

法律を変えるのは国会であり、国会議員の多数が変えようと思わない限り変わらないのだから、その困難さはわかっているつもりだ。しかし、この腐臭のする政治のままでいいと考える人は少ないはずだ。

平塚雷鳥は、一九一一年九月、雑誌『青鞜』創刊号に「元始、女性は太陽であった」で始まる宣言文を寄せて、女性解放ののろしをあげた。彼女は、その最後をこう結んでいる。

「烈しく欲求することは事実を産むもっとも確実な真原因である」

そうだ、「比例代表制に」と烈しく欲求することから始めよう、と心に誓って、私はこの本を書いた。