本の特送便 梅書房 > > 渡辺治著作集 第1巻 天皇制国家の専制的構造
978-4-8451-1715-4 渡辺治著作集 第1巻 天皇制国家の専制的構造 | ||
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【内容】 大逆罪・不敬罪に焦点を絞り天皇制国家の専制性を浮き彫りにし、市民的自由を抑圧する天皇制国家秩序の創出・確立・崩壊過程の全体像を明らかにする。 現代日本社会と国家に刻印される近代天皇制の特質とはなにか。大逆罪・不敬罪に焦点を絞り天皇制国家の専制性を浮き彫りにする。市民的自由を抑圧する天皇制国家秩序の創出・確立・崩壊過程の全体像を明らかにする。不敬罪と治安維持法の関係を明らかにする第四章、敗戦による天皇制国家秩序の崩壊過程を描く第五章は初めての活字化。 |
【目次】 Ⅰ 天皇制国家秩序の歴史的研究序説 ―大逆罪・不敬罪を素材として 序 課題の設定 1 天皇制国家秩序の創出――大逆罪・不敬罪の成立 2 天皇制国家秩序形成・確立期における大逆罪・不敬罪 3 天皇制国家秩序の危機と不敬罪の展開 4 「ファシズム」期における不敬罪と治安維持法の交錯 5 天皇制国家秩序の崩壊過程 Ⅱ 天皇制国家の構造をめぐって 1 日本帝国主義の支配構造 ―1920年代における天皇制国家秩序再編成の意義と限界 2 近代天皇制・天皇論の課題 |
[本巻の検討対象] 本巻と第2巻は、現代日本国家の直接の前提をなす近代天皇制国家の構造――とりわけ市民的自由の抑圧の構造を分析している。 筆者が研究者になって以来の、いやそもそも研究者になろうと思った動機、問題関心は、現代日本国家の特殊な構造を変革の立場から解明することであった。しかし、それを理解するうえでも、その直接の前提をなす近代天皇制国家の構造の分析が不可欠であると考え、東京大学社会科学研究所の助手に採用されて勉強を始めて以降、まずは、近代天皇制国家の構造を知ることに集中した。 自分が研究者になって解明したいと思った現代日本国家・社会の構造にいきなり入らなかった理由は以下の諸点にあった。 第一に、私たちが目にする戦後国家は、近代天皇制国家による植民地支配と侵略戦争の敗北の上に、その反省を踏まえて建設されたものであるという点である。戦後長らくの間、日本現代史が「戦後史」という言葉で語られ続けていたことも、また今なお1945年から10年ごとの節目は「戦後70年」というように呼ばれていることも、現代日本社会が、過去の戦争と敗戦の衝撃からつくられたという国民の共通経験を前提にしていたからであった。 第二に、その延長線上だが、現代日本社会と国家には、天皇制国家時代の構造の刻印が押されていると考えられたからである。現代日本分析に際しては、多くの論者が戦前日本との連続や断絶性を念頭に置いていた。講座派や近代主義派は、戦前との関係を重視したが、それに対して、現代日本社会・国家の戦前との断絶を重視する論稿も、戦前の刻印をどう評価するかを意識してきた。一方で、現代日本は、アメリカへの従属、企業社会、自民党政治など、戦前日本とは異なる支配の構造、それに伴う矛盾を抱えてきた。 こうした点から、現代日本社会・国家を解明するには、近代天皇制の構造分析、その刻印は、どうしても避けて通れないと思われた。 本巻は、そうした近代天皇制国家の全体像の解明を念頭に置いた論文を収録している。第Ⅰ部に収録したのは、今から43年前、1978年に社会科学研究所に提出した助手論文「天皇制国家秩序の歴史的研究序説――大逆罪・不敬罪を素材として」(以下、第1論文)の全文である。くわしくは、巻末解題に書いたが、この助手論文の前半部は、同名の題で論文提出直後に『社会科学研究』に掲載している。しかし、論文の全文は、今回初めて活字にして収録した。 第Ⅱ部は、第1論文の直後の1982年に歴史学研究会大会近代史部会で行なった報告「日本帝国主義の支配構造」(第2論文)と、これら論文から、ほぼ40年後に書いた近代天皇制の研究史「近代天皇・天皇制論の課題」(第3論文)を収録した。 |