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本の特送便 梅書房 > 渡辺治著作集 第5巻 現代政治史の中の象徴天皇制
978-4-8451-1719-2 渡辺治著作集 第5巻 現代政治史の中の象徴天皇制 新製品
渡辺治著作集 第5巻 現代政治史の中の象徴天皇制
¥5,060   在庫有り
渡辺治/著

旬報社

2022年2月

社会/社会学


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【内容】

憲法の求める「象徴」像と乖離する「平成流」はなぜ生まれ拡大したのか


「平成流」を維持するための「退位」、女性・女系天皇容認と皇室典範をめぐる右派、リベラル派乱れての議論がともに憲法の原則から大きく逸脱している危険性を指摘する

大国化をめざした支配層による天皇の政治利用と、皇室の伝統から独自の象徴天皇観を確立した「平成」の天皇の「自立化」の要因を歴史的に描く。


【目次】

Ⅰ 戦後改革と天皇制
 1 戦後改革と法―天皇制の改廃をめぐる攻防

Ⅱ 戦後政治史と二人の天皇
 2 戦後保守政治と天皇制

Ⅲ 冷戦後日本政治と天皇制
 3 「平成」の天皇と現代史
  一 「平成」前期の政治と天皇
  二 「平成流」の確立と憲法からの離陸
  三 「復活」安倍政権下、保守政権と天皇の緊張と対立
  小括 「平成流」の遣産
 4 近年の天皇論議の歪みと皇室典範の再検討


[本巻の検討対象]

本巻は、第4巻に続けて、戦後改革を経て象徴制に転換した戦後の天皇制を検討対象としている。第4巻の諸論稿の執筆は、少し遅れて書いた第Ⅱ部第6論文を除くと、ほぼ一九八九年、昭和天皇の死去と代替わりの前後に集中しているが、本巻所収の論稿は、一九九〇年以降二〇二一年にかけてとびとびに書いたものを収録している点で、また対象も昭和天皇から、「平成」の明仁天皇期を扱っている点でも、第4巻の続刊にあたる。

しかし、本巻での論稿の多くでは、検討の対象となる天皇の裕仁から明仁への変化に伴って、天皇制に第4巻の時には想定しなかった事態が起こり、それに応じて、検討の内容も大きく変化せざるを得なかった。そこであらかじめ、本巻が新たに対象とした、「平成」の天皇時代に生じた、昭和天皇時代とは異なる事態を指摘しておきたい。

第一の変化は、戦後における昭和天皇期の保守政治と天皇の関係と、「平成」の天皇期における保守政治と天皇の関係に大きな変化が現れたことである。

戦後改革により、天皇は天皇制国家時代の全政治権力の掌握者の地位から、一切の政治的権限を剝奪された「象徴」の地位に変わり、それに従って、戦後の天皇は、保守支配層の要請に従って国民統合に一定の役割を果たす、保守政治の制度の一部となった。第4巻では、それを天皇が、政治の主体から保守政治の「従属変数」へと変化したと表現した。

ところが、九〇年代以降の明仁天皇時代に入り、まず、支配層の天皇利用政策に大きな変化が現れた。それのみならず、明仁天皇が、保守支配層のそれとは独自の政治的意欲を持って行動しだし、保守政治としばしば緊張関係、さらには対立関係に陥るという事態が現出したのである。その頂点が、第二次安倍政権と明仁の関係であった。

天皇制の危険は、第4巻で主として検討したような、保守政権による天皇利用に伴うそれに加えて、君主制それ自体の危険性をも持つようになったのである。

第二の変化は、明仁天皇の時代に入って、天皇制批判の言説が減少し、それまで天皇・天皇制に批判的言説を行なってきたリベラル派や憲法学者の一部から天皇を礼賛するような言辞や「解釈」が現れ、代わって、それまで一貫して天皇・天皇制を擁護してきた右派の天皇批判が始まり強まったことである。

本巻、とりわけ、第Ⅱ部収録論文の後半と第Ⅲ部収録の二つの論考では、こうした戦後政治と天皇の関係の変化、それに伴う、天皇をめぐる言説や、政治的、イデオロギー的対抗の変化を扱った。

本巻収録論文は、三つの部から成り立っている。第I部収録論文では戦後改革によって、統治権総攬者としての天皇が、象徴に変わる過程での攻防を扱っている。「戦後政治と二人の天皇」と題する第Ⅱ部は、保守政治が天皇をどう利用しようとしたか、その利用の変化に焦点をあてて、昭和天皇期から平成の天皇期の前半―九五年までを通観した。「冷戦後日本政治と天皇制」と題する第Ⅲ部には、明仁天皇の時代を対象に先の二つの変化に焦点をあてて検討した二つの論稿を収録した。とりわけ、第3論稿『「平成」の天皇と現代史』では、上記第一、第二の変化に、また、第4論文では、第二の変化に焦点をあてて検討した。