本の特送便 梅書房 > > 司馬遼太郎の歴史観 その「朝鮮観」と「明治栄光論」を問う
978-4-87498-426-0 司馬遼太郎の歴史観 その「朝鮮観」と「明治栄光論」を問う | ||
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【内容】 「栄光」の日清・日露戦争を描いた『坂の上の雲』。だがその戦場となった近代朝鮮を司馬遼太郎はついに描かなかった。朝鮮史研究の第一人者が、司馬の「朝鮮観」を通してその歴史観を洗い出す。 |
【目次】 なぜ、いま、司馬遼太郎の歴史観を問うのか 1 「明治百年記念事業」と『坂の上の雲』 「明治の復活」を 黙殺された「敗戦」の断絶 『坂の上の雲』の登場 2 「韓国併合百年」にぶつけて、なぜ「坂の上の雲」なのか 「韓国併合百年」 NHKの「企画意図」は 『坂の上の雲』のなにが問題なのか Ⅰ 司馬遼太郎は近代日本の歴史をどう見ていたのか 1 日本の近代史を見る眼 「教科書代わり」の『坂の上の雲』 「戦前の昭和は大嫌い。明治、大好き」 「明治の先人たちの仕事を三代目が台無しにした」という日本人の歴史感覚 「日本の破綻は明治への背信」という説 2 敗戦前の昭和は日本史上「非連続の時代」という説 司馬遼太郎の日本近代史を見る根幹 「異胎の時代」の「思想の卸し元は参謀本部」 3 日露戦争後におかしくなった日本──という説 日本は日露戦争後に「民族的に痴呆化した」 「少年の国・日本」「武士の倫理が機能した日本」 「明治はよかった」という人はいっぱいいる 「武士道のモラルをもってのぞんだ日露戦争」という人も Ⅱ 司馬遼太郎の「朝鮮観」 1 司馬遼太郎は朝鮮問題によく通じていたのか 在日韓国・朝鮮人と交遊のあった司馬遼太郎 「金大中死刑判決」での談話 歴史家・旗田巍の批判 2 「古代の朝鮮」を語って「近代の朝鮮」を語らない 「古代以来の農耕生活がつづく農村」 「外国からの侵略のほか自力では変わらない李朝的停滞」という決めつけ 日露戦争前後の「朝鮮停滞論」のむしかえし 司馬説は新渡戸稲造「枯死国朝鮮」のコピー 歴史家・梶村秀樹の批判 ペアをなす『韓のくに紀行』と『坂の上の雲』 3 『坂の上の雲』の時代──日本の勃興・朝鮮の没落 日本が不平等条約から解放されるのと「韓国併合」はほぼ同時 アジアの人たちはこの変化をどう見ていたのか 4 『坂の上の雲』にみる朝鮮論──三つの論点 朝鮮の地理的位置論 朝鮮無能力論 帝国主義時代の宿命論 司馬遼太郎の「朝鮮論」のからくり=『坂の上の雲』の仕掛け Ⅲ 「近代の朝鮮」を書かないで「明治の日本」を語れるか 1 日露戦争後に日本陸軍は変質したという司馬の説 「近代朝鮮」黙殺の仕掛け 司馬の参謀本部編『日露戦史』批判 司馬の説くまぼろしの戦史編纂論 2 司馬遼太郎の主張は成り立つか─日清戦争をふりかえって検証する 司馬が書かなかった日清戦争の三つのキイ 第一のキイ──朝鮮王宮占領 なんのための王宮占領だったのか 計画したのは誰か 朝鮮政府をおどす 大鳥公使は公電でどう伝えてきたか 参謀本部の公刊戦史はどう書いているか ところが……公使の公電も公刊戦史もみなウソでした ひょうたんから駒 核心部隊の朝鮮王宮侵入 高圧・狡獪の手段も戦勝の歓声に埋もれて忘れ去られる 第二のキイ──朝鮮農民軍の抗日闘争と日本軍の皆殺し作戦 『坂の上の雲』の東学農民軍描写 司馬遼太郎はなぜ東学蜂起の故地を訪ねなかったのか 台湾の抗日闘争は書くのに朝鮮農民の第二次蜂起は書かない日本の歴史教科書 儒者も加わる日本がはじめて直面する大規模な抗日民族闘争 彼らはなぜ日本とたたかったのか 「向後悉ク殺戮スベシ」(これからは皆殺しにせよ) 第三のキイ──朝鮮王妃を殺害した事件 日清講和条約と三国干渉 「歴史上古今未曾有の凶悪事件」の真相 朝鮮の宮廷──大院君の抵抗 だれも責任を問われない日本 3 日露戦争下の朝鮮の軍事占領 欧米諸国に気を使うこと少なく 参謀本部編『明治三十七・八年秘密日露戦史』が明かす戦略 「併合という愚劣なことが日露戦争の後に起こる」という司馬遼太郎の説 4 戦史の偽造──真実は書かない公刊戦史 日清戦史草案の書きかえを決めた参謀本部部長会議 「宣戦の詔勅」にもとづいて書き直せ 「日露戦史編纂綱領」 「書いてはダメ」の一五カ条 「史稿」を探そう Ⅳ 歴史になにを学ぶのか 1 一韓国知識人の問いかけ 一九九五年、『東亜日報』元社長・権五琦さんの問いかけ 「百年前の日清戦争にまで遡って考える」という意味は? 2 明治初期の「征韓論批判」とロシアの朝鮮観 司馬遼太郎は「日露戦争=祖国防衛戦争」というが 田山正中の「征韓論批判」 ロシアが朝鮮を乗っ取るというのはホントだったのか? 日清戦争当時、ロシアは朝鮮をどう見ていたか 日露戦争前後、ロシアは朝鮮をどう見ていたか 江華島事件の「雲揚」艦長、井上良馨の朝鮮観 3 事実を知る、認める──その勇気を持ちたい 「少年の国」、そのいじらしさという『坂の上の雲』 敵艦をあざむく「奇計」の指示 歴史を美化せず、事実を事実として 4 歴史研究と国家権力 司馬遼太郎の歴史科学攻撃 「真理がわれらを自由にする」 一貫して朝鮮敵視の政策をとった明治の日本 国家の責任・知識人の責任 東学農民軍の戦跡を訪ねる旅のすすめ 5 歴史が語ること 「共生の時代」二一世紀を前に 伊藤博文はわかっていたのか──その憂慮 真実の隠蔽・歴史の偽造が生みだす国家の頽廃 いま、『坂の上の雲』をテレビドラマ化する意味 あとがき |