本の特送便 梅書房 > > よみがえる戦時体制 治安体制の歴史と現在
9784087210354 よみがえる戦時体制 治安体制の歴史と現在 | ||
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【内容】 二〇一七年に成立、施行された「テロ等準備罪」こと共謀罪法。共謀の判断基準も曖昧で、治安維持法との類似を指摘する識者も多いこの法はすでに動き出している。シーレーン防衛等の従来の動き、集団的自衛権をめぐる解釈改憲、特定秘密保護法等と合わせて考えれば、国益を追求する一方で、「テロ防止」「治安維持」を口実に反対する者を監視、抑圧する「戦争ができる警察国家」ともいうべき治安体制がよみがえっている。国家の暴力装置たる警備公安警察等の権力の恣意的な運用を抑止、是正するために必要なのは何か。戦前の治安維持法、特高警察など治安体制の専門家が戦時体制の歴史をふまえ、現状分析したのが本書である。 |
【目次】 はじめに 「来るべき戦争準備」に抗するために 第1章 戦時体制の形成と確立―どのように日本は戦時体制を作っていったのか 第2章 戦時体制の展開と崩壊―どのように治安体制はアジア太平洋戦争を可能としたのか 第3章 戦後治安体制の確立と低調化―速やかな復活にもかかわらず「戦前の再来」とならなかったこと 第4章 長い「戦後」から新たな「戦前」へ―どのように現代日本は新たな戦時体制を形成してきたのか 第5章 「積極的平和主義」下の治安法制厳重化―新たな戦時体制形成の最終段階へ おわりに 再び多喜二に学ぶ |
【おすすめ】 ◆書評◆ この国の治安体制は現政権の下、さらにとてつもなく強化された。安保関連法、特定秘密保護法、共謀罪、そして盗聴法の大幅拡大。そんな時期、著者の研究の集大成である本書は、刊行されるべくして刊行されたといえる。その中で著者は〈安倍政権の下で進行する諸施策は全体として新たな戦時体制作りに収斂する〉と警告しつつ、戦前・戦中の事態が〈そのまま再現するという可能性は少ない〉とも記す。 では、どのような形で〈新たな戦時体制〉は進行するか。本書からあらためて読みとるべきは、治安機能が肥大化した国家や社会の薄暗さである。それは洋の東西や政治体制の左右を問わぬ歴史的教訓でもあるのだが、個人的に私がもっとも薄気味悪く感じているのは、現政権に集う面々がその本質的な恐ろしさにまったく無自覚なように見える点だった。そういう意味でいえば、現政権とその支持層にこそ本書は真っ先に読まれるべきかもしれない。 青木理(ジャーナリスト)「青春と読書」2018年7月号「本を読む」より抜粋 |