本の特送便 梅書房 > > 社会的分断を越境する 他者と出会いなおす想像力
9784787234117 社会的分断を越境する 他者と出会いなおす想像力 | ||
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【内容】 移民、難民、テロ、犯罪、ヘイトスピーチ――国内外の具体的事例と現場を「越境」と「想像力」という視点から読み解き、そこに潜む問題性を浮き彫りにする。社会的分断を乗り越えるために、私たちの想像力をバージョンアップするアクチュアルな成果。 |
【目次】 世界を再想像する テッサ・モーリス=スズキ 解題 他者と出会いなおし、世界を想像しなおす 塩原良和 序章 越境的想像力に向けて 塩原良和 1 共感と想像力 2 社会学的想像力と歴史的想像力 3 ナショナルな想像力の限界 4 社会階層と想像力の制約 5 リアリティの分断とスティグマ化 6 想像力を「越境」させる 7 本書の構成 第1章 越境者・媒介者・コスモポリタンをめぐるリアル・ユートピア――長野・宮城・バンクーバーにおける移住者たちのトランスナショナリズム 西原和久 1 日本農村にみられる越境者――交流の諸相と媒介者の発見 2 震災被災地・宮城の越境者たち――外国人被災者と媒介者 3 出移民と媒介者たち――オイジンとカナダ移民を中心に 4 多文化社会の再検討と媒介者の変容――国家主義を超えて 第2章 民間外交と移民――戦間期の日米経済人交流を事例として 辛島理人 1 移民のはじまりとしての開国 2 日本の民間経済外交 3 アメリカの排日運動 4 渋沢栄一の対米民間外交 5 パナマ運河の開通とサンフランシスコ万博 6 日米関係委員会 7 排日移民法 8 その後 第3章 移民史と海事史を越境する――二十世紀初頭のアメリカ諸港における日本海員の「脱船」を事例として 栢木清吾 1 渡米手段としての脱船 2 日本の出国管理を潜り抜ける海員の移動 3 脱船の防止策と失敗 第4章 「避難民」としての越境――神戸の白系ロシア人の事例から 中西雄二 1 白系ロシア人を取り巻く情勢と諸制度 2 神戸の白系ロシア人社会の形成 3 就業状況と日本社会との関わり 4 戦後の白系ロシア人社会 第5章 コロニアル・クリミナリティの系譜学――韓国・朝鮮人への蔑称から探る「継続する植民地主義」 ジョエル・マシューズ[鈴木弥香子訳] 1 日本で作られた「朝鮮学」 2 日本宗主国への「転移」 3 日本の統計学の発展と「不逞鮮人」言説 4 ポストコロニアルな空間に残存する植民地主義 第6章 反知性主義、未決性、互酬性から希望へ――ヘイトスピーチでの「分断」から考える 川端浩平 1 ヘイトスピーチの現場から見えてくる奇妙な三角関係 2 ヘイトスピーチと「分断」 3 ストリートから消え去った者たちの現在 4 反知性主義に向き合うことから見えてくる未決性と希望 第7章 反税運動と移民排斥運動にみる福祉ショービニズム――デンマークにおける「租税同意」の歴史的経緯から考える 倉地真太郎 1 「納税者の反乱」から「移民排斥運動」への文脈 2 地方財政と多様なニーズ 第8章 風刺と宗教――ポスト世俗化時代のデモクラシー 清水知子 1 揺れる欧州、回帰する神々 2 世俗主義の系譜とその破綻――問いなおされる公共圏 3 変貌する戦争とテロリズム 4 狂信者とは何者か――寛容と暴力の行方 5 文化の翻訳と赦し 第9章 多文化共生概念が「禁止」するもの――ブラジル人集住地区のリアリティ 山本直子 1 X地区とブラジル人 2 エスニック・コミュニティの役割の変化 3 多文化共生の名のもとで 第10章 「根のあるコスモポリタニズム」へ――グローバル化時代の新たな試練と希望 鈴木弥香子 1 なぜコスモポリタニズムは再び注目されたのか 2 「根のないコスモポリタニズム」? 3 コスモポリタニズムが抱える歴史的・文化的問題性 4 「根のあるコスモポリタニズム」 第11章 阪神・淡路大震災を「想像し続ける」歴史実践のために――「一九九五年生まれ」の空間性と帰属感覚 稲津秀樹 1 阪神・淡路大震災の空間と神戸・長田の「土壌」 2 軌跡の可視化と不可視化の間――復興まちづくりのなかで 3 「一・一七のつどい」を行き交う軌跡の渦へ 4 「一九九五年生まれ」の空間性と帰属感覚――まとめにかえて あとがき――もうひとつのまえがき 稲津秀樹 |
【おすすめ】 貧困や格差の拡大、テロ/人種差別といった剥き出しの暴力と排外主義の台頭、他者へのバッシング……グローバル化を背景に国境を越えて再編される現代の越境社会は、いま様々な場面で分断を抱えた危機的状況にある。 移民、難民、テロ、犯罪、ヘイトスピーチ、多文化共生、福祉財政、災害被災地――国内外の具体的事例と現場を「越境」と「想像力」に着目しながら読み解き、そこに潜む問題性を浮き彫りにする。他者と対話し理解しようと努める人びとの営みを「越境的想像力」と位置づけ、他者の経験を想像力によって自身のリアリティーに取り込む重要性を指摘する。社会的分断を乗り越えるために、私たちの想像力をバージョンアップするアクチュアルな成果。 |