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本の特送便 梅書房 > 地方に生きる若者たち
9784845115150 地方に生きる若者たち 新製品
地方に生きる若者たち
¥1,944   お取り寄せ
石井まこと/編著
宮本みち子/編著
阿部誠/編著
宮下さおり/著
中澤高志/著
木本喜美子/著
板本洋子/著
長須正明/著
上野景三/著
旬報社
2017年11月
社会/労働/法律


個数

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【内容】

130人へのインタビューをもとに、地方に暮らす若者の生活を、雇用・キャリア形成・家族・ジェンダー・教育・地域社会といった多面的な角度から分析し、その生きづらさの現状を明らかにし、解決策を提示する。


【目次】

序章 地方に生きる若者へのインタビューが映し出すもの

第1章 「地方消滅」は若者の生活をどう変えたのか
1 地方から若者が消滅しているのは本当か?
2 若者雇用政策の展開と課題
3 若者の地元志向と社会関係資本
4 地方若者への社会政策
【コラム】地方の若者は都市へ出るべきなのでしょうか?

第2章 若者の自立に向けて家族を問い直す
1 成人期への移行」の道のりとは?
2 不安定就業のなかで経済的自立に向かう
3 安定就業世帯の若者と親
4 多就業世帯の若者と親
5 自営業を主とする世帯の若者と親
6 リスク世帯の若者と親
7 まとめ―地方圏の若者の自立過程の実像
【コラム】2000年代社会学における若者研究

第3章 地方圏の若者はどのようなキャリアを歩んでいるのか
1 若者の雇用問題
2 地方圏の若者のキャリア
3 若者の転職の要因
4 地方圏の若者のキャリアの特徴
5 地方圏の若者のキャリア支援の課題――結びにかえて
【コラム】若者たちの“仕事のやりがい”をかなえるために

第3章補論 自営業という選択に立ちはだかるもの
地方圏における自営業の重要性
親世代の自営業従事状況と子どもの教育
承継をめぐる親子の意識と行動
これからの家族協業とその課題

第4章 若者が地方公共セクターで働く意味
1 制度によって創り出される雇用
2 労働市場における公共セクター
3 地方圏における公共セクターの労働条件
4 非正規公務員として働くこと
5 公務以外の公共セクターにおける働き方
6 キャリア形成を支えるために
【コラム】「生存のためのライフコース」を脱する

第5章 仕事と結婚をめぐる若者たちの模索
1 晩婚化,未婚化は何をもたらすか
2 若者の移行期と結婚・家族形成
3 「結婚ばなれ」の実相
4 そして,模索は続く―山形調査を中心に
【コラム】若者の移行期研究が切り拓いた歴史的視野

第5章補論 結婚支援がもたらす成果とは
農村の結婚難からはじまった結婚支援
少子化対策でひろがった全国的な結婚支援事業
新たな目線でとらえる「結婚」と「支援」
支援の成果をとらえなおす時代へ
今後の結婚応援に向けて

第6章 学校社会は地方と向き合っているのか
1 社会の「個人化」「私事化」と自己責任イデオロギー
2 高卒後の進路分化と地域移動
3 若者の地域移動問題と生き方選択
4 学校教育(進路指導・キャリア教育)の課題
【コラム】困難を抱える若者を支援する意義

第7章 社会教育の衰退が若者たちにもたらしたもの
1 社会教育と青年教育の変容
2 青年・若者の自立に対する社会教育の諸問題
3 地域における青年・若者の自立の諸相
4 地方で暮らす「若者」の自立と社会教育
【コラム】子ども・若者にとっての空間

終章 若者が地方で働き、暮してゆくために
1 地方圏の若者の自立の課題
2 若者にたいする支援政策の特徴とその問題点
3 地方圏の若者にたいする支援政策の課題
4 若者が地方圏で生きるための仕組みづくり

あとがき


【おすすめ】

近年雇用は回復しているが,回復したのは大都市であり,多くの地方では就職難が続いたままである。所得は全国的に伸び悩んでいるが,都市と地方の所得格差も拡大している。「失われた20年」は雇用問題だけでなく少子高齢化と人口減少化の時代でもあった。とくに地方圏では深刻だった。そのうえ,ますます少なくなる若者たちが,安定した仕事に就けず,将来の見通しのある生活基盤を築けないという皮肉な構造が地方圏に広がっていた。

私たちの関心は,若者たちの仕事・結婚・暮らしがどうなっているか,地方圏の未来と,その担い手としての若者の人生に明るい展望があるのか,ないとしたら何が必要なのかを明らかにすることだった。


社会的孤立化は,「自分あるいは自分の属する集団や場を越えたところにある事柄に対する無関心」と密接に関係している。そのことが,地元への無関心,主体的参加意欲の喪失に結びつくとすれば,若者たちは地元の担い手とはなりえない。「地方の時代」を実現するには若者たちが確実な生活基盤を築き,社会関係の広さや厚みをもった主体として成長できることが必要である。本書を通してこのような問題意識を伝えることができれば私たちの研究はむだではなかったと思う。

【あとがき】より